「国民経済・社会発展第15次5ヵ年計画の策定に関する中共中央の建議案」に関する習近平総書記の説明

2025-10-29 10:00:40 | Source:https://jp.news.cn/

「国民経済・社会発展第15次5ヵ年計画の策定に

関する中共中央の建議案」についての説明

習近平

 同志のみなさん

 中央政治局の委託を受けて、「国民経済・社会発展第15次5ヵ年計画の策定に関する中共中央の建議」(以下「建議」と略す)の起草に関する状況について全会に説明を行う。

 一 建議案起草の経緯

 中長期計画を策定して経済・社会発展を導くことは、わが党の国政運営の重要な方式である。今年、第14次5ヵ年計画が完成するため、第15次5ヵ年計画を検討・策定する必要がある。第15次5ヵ年計画をしっかりと検討・策定することは、わが国の経済・社会の持続的かつ健全な発展を推進し、計画通りに社会主義現代化を基本的に実現するためにより強固な基礎をうち固めるうえで重要な意義を持っている。

 今年1月、中央政治局は、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(20期4中全会)で第15次5ヵ年計画建議を審議し、私を組長とし、李強同志、王滬寧同志、蔡奇同志、丁薛祥同志を副組長として、関係部門・地方の責任者が参加する文書起草組を設置し、中央政治局常務委員会の指導の下で建議案起草作業に当たらせることを決定した。2月11日、文書起草組は第1回全体会議を開き、建議案起草作業が正式にスタートした。

 党中央は、民主の発揚と衆知の結集を文書起草作業の全過程に貫き、調査研究を踏み込んで行い、各方面の意見を幅広く求めた。1月22日、党中央は「20期4中全会で検討する第15次5ヵ年計画建議に対する意見募集についての通達」を出し、党内外の一定範囲で意見を求めた。2月下旬、党中央は6つの調査研究組を組織して12の省・自治区・直轄市でテーマ別調査研究を行った。それと同時に、党中央は一部の中央・国家機関に35の重点課題研究を進めさせた。4月30日、私は上海で一部の省・自治区・直轄市の第15次5ヵ年計画期の経済・社会発展についての座談会を主宰した。その後、李強同志は委託を受けて、前後して経済界代表、科学技術界代表、末端代表の3つの座談会を開いた。また、われわれはインターネットで意見を募集し、関係部門は300万件以上の書き込みから1500余件の意見を整理した。各方面は以下の認識で一致した。党の20期4中全会で第15次5ヵ年計画建議を重点的に検討することは、国家発展計画の戦略的方向づけの役割を発揮させ、全党・全国各民族人民が団結奮闘するための大きな力をいっそう結集し、中国式現代化により強国建設・民族復興の偉業を全面的に推進するうえで重要な意義を持っている。総合的に判断すると、第15次5ヵ年計画期のわが国の発展において、戦略的チャンスとリスク・課題が併存し、不確実で予測不能な要素が増える一方、わが国の経済・社会発展の長期間の持続的好況を支える条件と基調に変化はない。各方面一様に望んでいるのは、第15次5ヵ年計画期の経済・社会発展の全般的構想・重要原則・主要目標・戦略的任務・重要措置を明確にして、第15次5ヵ年計画期の質の高い発展を推し進め、社会主義現代化を基本的に実現するためにより強固な基礎をうち固める、ということである。

 8月4日、建議案を党内の一定範囲に配布して、党内の一部の古参同志を含み、意見を求めたほか、とくに民主諸党派の中央委員会や中華全国商工業連合会の責任者、無党派人士の代表からも意見を聴取した。意見の募集状況から見ると、各地区・各部門は建議案を十分に認めた。みなが以下の認識で一致した。建議案は第15次5ヵ年計画期における党・国家事業の発展の歴史的位置を正確に把握し、わが国の発展環境の直面している急激かつ複雑な変化を深く分析し、今後5年の発展にトップダウン設計・戦略的計画を策定しており、指導方針が科学的かつ的確なものであり、主要目標がはっきりとして明確であり、任務・措置が実情に応じて定められ、勢いに乗って進み、中国式現代化を持続的に推進する新たな総動員、トータルプランであり、経済の急速な発展と社会の長期的安定という二大奇跡の新たな一章を刻み続け、中国式現代化建設の新たな局面を切り開くよう努力する歴史的能動性を示し、必ず党と国家の事業の発展に重要かつ深遠な影響を及ぼすであろう。もう一方、各方面は優れた意見・提案を数多く提出した。文書起草組はこれらの意見・提案を一つ一つ分析し、取り入れられるものはできる限り取り入れ、建議案を計218ヵ所加筆・修正・スリム化し、各方面の意見や提案452件を反映させた。

 建議案起草の過程において、中央政治局常務委員会は3回、中央政治局は2回の会議を開いて審議・修正を行い、今回の全会で審議する建議案を作成した。

 今回の文書起草作業は党内民主と全過程の人民民主を発揚する新たな生きた実践であると言える。

 二 建議案起草の主な考慮と建議案の基本的内容

 建議案起草の全体的な考慮は、第20回党大会がうち出した社会主義現代化強国を全面的に築き上げる二段階の戦略的段取りに基づいて、社会主義現代化を基本的に実現するプロセスにおける第15次5ヵ年計画期の重要な位置を正確に把握し、国内外の情勢を深く分析し、第15次5ヵ年計画期のわが国の経済・社会発展について系統的な計画と戦略的配置を行うということである。

 建議案起草の過程において、われわれは次の点をきっちりと押さえるようにした。第一に、目標志向・問題志向を堅持し、基礎をうち固めて全面的に力を尽くすという基本的位置づけに立脚し、社会主義現代化を基本的に実現するためにより強固な基礎をうち固めることを着眼点として系統的に計画し、世界の百年に一度の変動の新たな情勢と発展における際立った問題に力強く秩序立てて効果的に対応することを重点として、不足部分や脆弱部分を補強する。第二に、系統的思考を堅持し、「五位一体」の総体的配置を統一的に推進し、「四つの全面」の戦略的配置を調和的に推進する要請に基づいて、経済・社会発展と党建設の諸般活動について全面的配置を行う。第三に、改革のいっそうの全面的深化を堅持し、改革の方法で発展の難題を解決することを重視し、発展に原動力を高め、活力を与える。第四に、対外開放の拡大を堅持し、発展の拠り所を自力とすることを堅持する一方、世界の要素・市場の資源を統一的に活用する。

 建議案は15の部分からなり、3つのまとまりに分けられる。第一のまとまりは第一・第二部分を含め、総論にあたり、主として第14次5ヵ年計画期においてわが国の発展が上げた大きな成果、第15次5ヵ年計画期が社会主義現代化の基本的実現の道のりにおける承前(しょうぜん)啓後(けいご)の重要な位置、第15次5ヵ年計画期におけるわが国の発展環境の直面する急激かつ複雑な変化、第15次5ヵ年計画期の経済・社会発展の指導思想、守るべき原則、主要目標などの内容について説明している。第二のまとまりは第三部分から第十四部分までの12の部分を含め、各論にあたり、主として全局的かつ長期的な重点問題に焦点を当て、第15次5ヵ年計画期の戦略的任務と重要な措置を分野別に配置し、産業発展、科学技術イノベーション、国内市場、経済体制、対外開放、農村振興、地域発展から、文化建設、民生保障、グリーン発展、安全発展、国防建設までなどの重点分野の考えと重要活動を明確にしている。第三のまとまりは第十五部分と結語を含め、主として党中央の集中的・統一的指導の堅持・強化、社会主義の民主・法治建設の推進、香港・澳門・台湾関連活動、人類運命共同体の構築の推進、社会全体の積極性・主体性・創造性の十分な喚起など任務を配置している。

 三 説明を要するいくつかの重点問題について

 建議案は一連の重要な観点と重大措置をうち出している。ここで、その中のいくつかの重点問題について簡単に説明する。

 第一に、第15次5ヵ年計画期の重要な位置について。社会主義現代化の実現は、段階的に深まって絶えず発展・進歩する歴史的プロセスであり、たゆまず努力し、奮闘し続ける必要がある。建議案は第15次5ヵ年計画期が社会主義現代化の基本的実現の道のりにおいて承前啓後の重要な位置を占めることを指摘しており、これが第15次5ヵ年計画期の担うべき歴史的任務に基づいて行った判断である。第20回党大会は2035年までに社会主義現代化を基本的に実現することを確定した。第14次5ヵ年計画期は一つ目の5年であり、すでに強固な基礎を築き上げ、良いスタートを切った。第15次5ヵ年計画期は基礎をうち固めて全面的に力を尽くす肝心な時期であり、第15次5ヵ年計画の策定・実施をしっかりと行えば、2035年までに社会主義現代化を基本的に実現するためにより強固な基礎をうち固めることができる。

 建議案はこの基本的な位置づけから出発して第15次5ヵ年計画期の発展を計画し、第14次5ヵ年計画でうち出した理念・考えとの連続性を保ちながら、今後5年間わが国の発展の成り行きを的確に把握し、実情に合った先見性のある全体的構想・重要原則・主要目標・戦略的任務をうち出している。このタイミングをとらえ、優位性を定着させ拡大し、ボトルネックの解消に取り組み、不足部分や脆弱部分を補強し、激しい国際競争の中で戦略的主導権をかち取り、中国式現代化全体にかかわる戦略的任務に重要な進展がみられるよう推し進め、社会主義現代化の基本的実現に決定的な進展がみられるよう確保する。

 第二に、第15次5ヵ年計画期の経済・社会の発展目標について。発展目標の科学的設定は、5ヵ年計画の着実な策定・実施にとって極めて重要である。建議案は第15次5ヵ年計画期の基本的位置付けと段階的要請を把握したうえ、経済・社会発展の主要目標を明確にしている。2035年までに社会主義現代化を基本的に実現する一つの大きな節目となる指標は、1人当たりのGDPが中進国レベルに達することであり、第15次5ヵ年計画期の経済・社会発展が適切な速度を保つことが求められる。建議案は踏み込んだ検討、科学的論証を行ったことを踏まえて、経済成長を合理的な範囲内に保つこと、全要素生産性を着実に向上させること、経済成長の潜在力を十分に引き出すこと、住民所得の伸び率と経済成長率の一致、労働報酬の上昇率と労働生産性の上昇率の一致を保つこと、中間所得層を引き続き拡大することなど重要目標をうち出している。それと同時に、現段階の国内経済の下押し圧力の増加、有効需要の不足など際立った問題に基づき、建議案は個人消費の対GDP比を明らかに高めること、経済成長を牽引するメインエンジンとしての内需の役割を引き続き強化することなどの目標をうち出している。

 過去のやり方を参考にして、建議案は建議のマクロ的指導機能をよりよく体現して発揮させるために、第15次5ヵ年計画期の経済・社会発展目標を主に定性要求とし、必要な定量要求と具体的な活動配置は計画要綱を策定するときに検討・確定することをうち出している。

 第三に、質の高い発展の推進を主題とすることについて。建議は第14次5ヵ年計画と一つの流れとしてつながっており、引き続き質の高い発展の推進を第15次5ヵ年計画期の経済・社会発展の主題とし、経済建設を中心とすることを堅持し、新たな発展理念を完全・正確・全面的に貫徹し、効果的な質的向上と合理的な量的拡大を実現し、経済の持続的で健全な発展と社会の全面的進歩を推し進める、と要請している。質の高い発展を推し進めるうえで、最も重要なのは、ハイレベルの科学技術の自立自強の加速、新質生産力の積極的な発展、科学技術イノベーションの推進、新原動力の育成加速、経済構造の最適化・高度化の促進において実質的かつ打開的進展がみられるようにする、ということである。

 建議案は科学技術イノベーションの先導的役割を際立たせ、現代的産業体系の構築、ハイレベルの科学技術の自立自強の加速、経済・社会発展の全面的なグリーン化の加速などの面について配置を行い、次のことをうち出している。◇従来型産業の最適化・高度化をはかり、新興産業と未来産業を育成して大きく成長させ、実体経済の基盤を強化・拡大する、◇独創的イノベーションと基幹核心技術の研究開発を強化し、科学技術イノベーションと産業イノベーションの高度な融合を推進し、教育・科学技術・人材の発展を一体的に推進し、「デジタル中国」の建設を踏み込んで推進する、◇新型エネルギー体系の整備を急ぎ、グリーンな生産方式・生活様式の形成を加速させる、ということである。注意すべきなのは、新質生産力を発展させるには一定の賦存・条件を備える必要があり、実行可能性を十分に考慮しなければならないということである。建議案が実情に応じて新質生産力を発展させると強調するのは、科学的かつ理性的で事実に基づいて活動を展開し、しゃにむに進めないよう導くためである。

 第四に、国内大循環を強化し、国内・国際双循環の円滑化をはかることについて。外部環境が厳しくて複雑になればなるほど、新たな発展の形の構築を加速し、発展の主導権をしっかりと握らなければならない。現在および今後一定期間は、国内大循環の強化を堅持し、強大な国内経済循環体系の形成を急ぎ、国内循環の安定性で国際循環の不確実性を相殺しなければならない。

 建議案は、国内大循環の強化を際立たせ、強大な国内市場の建設、ハイレベルの社会主義市場経済体制の加速度的構築に向けて配置を行い、次のことを強調している。◇内需拡大という戦略的基点を堅持する、◇民生改善と消費押し上げ、「モノへの投資」と「ヒトへの投資」の緊密な統合を堅持する、◇消費の押し上げに力を入れる、◇有効投資を拡大する、◇全国統一大市場の構築を妨げる障壁・目詰まりを断固として取り除く、◇各種の経営主体の活力を十分に引き出す、◇要素市場化配分の体制・仕組みの整備を加速させる、◇マクロ経済ガバナンスの効果を向上させる、ということである。一方で、国際循環を拡大し、制度型開放を着実に拡大し、多角的貿易体制を擁護し、質の高い「一帯一路」共同建設を進めるとうち出している。

 第五に、全人民の共同富裕が確かな一歩を踏み出すことについて。中国式現代化は全人民の共同富裕の現代化である。第18回党大会以降、われわれは初心を忘れず、人民の立場に立って問題を考え、地域間調和発展を推進し、力強い措置を講じて民生を保障・改善し、貧困脱却堅塁攻略戦に勝利し、小康社会を全面的に完成させ、共同富裕の促進のために良好な条件を整えてきた。建議案は指導思想において全人民の共同富裕が確かな一歩を踏み出すととりわけ強調している。これは、第15次5ヵ年計画期の経済・社会発展を導く全般的要請である。

 建議案は共同富裕の目標・要請をしっかりととらえ、民生の保障と改善をめぐって、次の面において一連の均衡性とアクセシビリティの強い政策措置を配置している。◇質の高い完全雇用を促す、◇所得分配制度を改善する、◇人民に満足してもらえる教育をしっかりと行う、◇社会保障体系を整備する、◇不動産業界の質の高い発展を推し進める、◇「健康中国」の建設を加速させる、◇人口の質の高い発展を促進する、◇基本公共サービスの均等化を着実に推進する、ということなどである。また、地域間、都市・農村間の格差縮小に着眼し、農業・農村の現代化の加速、農村の全面的な振興の着実な推進、地域的経済配置の最適化、地域間調和発展の促進などの面において一連の実務的な措置を配置している。人民の精神生活の共同富裕の促進に着眼し、社会主義の核心的価値観の発揚・実践、文化事業の大いなる繁栄、文化産業の発展の加速、中華文明の発信力と影響力の向上をうち出している。

 第六に、発展と安全を統一的に考慮することについて。安全は発展の前提であり、発展は安全の保障である。わが国は今後5年で、不確実で予測不能なリスク要因が明らかに増える時期に入り、発展と安全を統一的に考慮する取り組みがますます困難になる。建議案は国家安全保障体系・能力の現代化の推進を中心に据えて、次のことをうち出している。◇国家安全保障体系を整える、◇重点分野の国家安全保障能力の整備を強化する、◇公共安全ガバナンスの水準を向上させる、◇ソーシャル・ガバナンス体系をより完全なものにする、ということである。国防と軍隊の現代化の質の高い推進を中心に据えて、◇先進的戦闘力の整備を加速させる、◇軍事ガバナンスの現代化を推進する、◇一体的国家戦略体系をうち固めてその能力を向上させることをうち出している。

 第七に、党の全面的指導を堅持することについて。党の全面的指導を堅持・強化するのは中国式現代化を推進するうえでの根本的保証である。建議案は党の経済・社会発展を指導する能力と水準の向上に着眼し、次のことを強調している。◇党中央の集中的・統一的指導を堅持・強化し、党中央の重要な決定・配置を実施する仕組みを整備する、◇党の革新的理論をもって思想・意志・行動を持続的に統一する、◇正しい人事方針を堅持し、幹部の考課・評価の仕組みを充実させる、◇各分野の末端党組織の建設を統一的に推進する、◇中央の八項目規定の精神をたゆまず貫く、◇党と国家の監督体系を整える、◇断固として反腐敗闘争堅塁攻略戦・持久戦・総力戦に勝利する、ということである。

 同志のみなさん、「国民経済・社会発展第15次5ヵ年計画の策定に関する中共中央の建議」を審議・採択することは、今回の全会の主要任務である。みなさんには、真剣に思案し、踏み込んで議論し、建設的な意見や提案を提出し、ともにこの全会を首尾よく開き、建議案をよりよいものにしていくよう望んでいる。